DIDについて

こないだの日記でDIDに触れたから、もう少し触れてみようと思う。
それに、一応このブログ、カテゴリが「こころ」になっているので、少しぐらいはそういう記載がないと変だしな。



そもそもDIDとは何か?
アメリカ精神医学会(APA)発行のDSM-Ⅳによると、正式名称Dissociative Identity Disorder(解離性同一性障害)である。
旧称、多重人格性障害。

マスコミで一時期面白おかしく取り上げられた障害である。

Dissociative Disorders(解離性障害:以下DD)の下位障害にあたるもので、DDに含まれるその他障害を併発する。
DDは、他の障害に比べ、下位概念が少ないようにも見えるが、その症状は重い。

DSM-Ⅳによる診断基準は以下の通りである。

A.2つまたはそれ以上の、はっきりと他と区別される同一性またはパーソナリティ状態の存在(その各々は、環境及び自己について知覚し、関わり、思考する、比較的持続する独自の様式を持っている)が認められる。
→一つの体の中に、独立した同一性(人物と置き換えるとわかりやすいかもしれない)が存在し、それは通常の人が持つ、性格の多面性や接する人によって態度が違い、人は複数の仮面を持っているようなもの、といった解釈では事足らない事を示している。

B.これらの同一性またはパーソナリティ状態の少なくとも2つが反復的に患者の行動を統制する。
→一つの中に複数の人間が存在し、ふとした時に体を制御する人が入れ替わり、活動する事を指す。
まったく違う人物(人格)が体を操るわけで、性格、記憶が別物である。
また、個々が名前や年齢、性別などの自己史を持ち、戸籍上の名前とはまったく違うものが多い。

C.重要な個人的情報の想起が不能であり、それは普通の物忘れでは説明できないほど強い。
→人物(人格)が入れ替わって体を操作するわけで、その間、体を操っていない人は外の情報を入手できない。
そのため、別の人が体を操っている間の記憶は、他の人が持ちえるものではない。
また、人物の形成は必要に応じて行われ、ある患者(体)が8歳の時に生まれた人格(例えば、名前A、年齢4歳)は、それ以前の記憶を持っていない事も有りうる。

D.この障害は、物質または他の一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではない。
→薬物やアルコールによって引き起こされるものでなく、脳の損傷などによって引き起こされる障害でもないという事。

この障害は、原因が非常に悲惨なものである。
例えば、親族の死を目の前にし、強いストレスにさらされた時や、保護するべき親やそれに該当する人物から、身体的苦痛(暴力など)や性的虐待を受ける事によって因子が形成される。

因子と書いた理由は、必ずしもそうなるわけではないからだ。
また、この障害は10歳未満に上記のような出来事や心的外傷(いわゆるトラウマ)体験をする事で因子形成される。

この障害を持つ人は非常な苦しみを持つ。
常人ではわかりえない。
僕もわかってない。
むしろ、わかれない。

良くても「大変なんだろうな」でおしまい。
そりゃそうだ。

社会的に見れば、問題点がいくつも見出せる。

虐待の起きる社会。
誇張脚色するマスコミ。
「私はDIDだ」という自称DID(その疑いがあると言っている者含む)の出現。
研究不足、障害内容の困難さが引き起こす偏見。
治療難。

せめて理解できる人が増えるだけで少しは違うだろう。
接し方が難しいという事実はあれど。